介護における機能訓練の心がけ

介護における機能訓練とは、デイサービスなどで取り入れられることの多い、生活機能を低下させないことが目的の訓練です。これにより、高齢者のセルフケアや排泄コントロール、移乗などといった生活に不可欠な行動の低下や悪化を防ぐことができますが、そのためには、高齢者1人1人に合わせたプログラムの実施が必要です。

機能訓練では認知症を予防したり、脳の機能を維持したりすることを目的とした訓練もあります。ここでは、個々の脳機能や状態に合わせたケアプランを立てることが良い結果に結びつくと言えます。

脳機能が老化する前であれば、数独やパズルといった訓練も効果的ですが、脳の老化が始まっている人には、指回し運動などで、脳へ刺激を与えることが重要です。そうした、一人一人に合わせた、訓練内容や時期の見定めが必要となるでしょう。

訓練には誤嚥を予防するものもあります。誤嚥性肺炎が高齢者の死亡原因に多いという点からも、この訓練の有用性がわかると言えます。訓練は、口を含む顔全体を使って、五十音をはっきりと発語させるなど、顔や口、喉の筋肉を鍛えることが重要とされています。こうすることで利用者のコミュニケーション力も高まり、より効果的でスムーズな訓練が行えると言えるでしょう。

訓練に使う道具は、タオルやゴム紐など、安全でできるだけ手触りの良いものが適しています。また、ゴム製の粘土の利用もスムーズな訓練のコツです。ゴム製の粘土は手が汚れることもなく、乾燥して固まってしまうこともないため、高齢者にも訓練士にも負担が少ないです。このように、訓練はただ行うのではなく、高齢者個人に寄り添い、適したプログラムを実施することが大切です。